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医局を辞める時の相談先は?転職エージェントだけで十分か

医局を辞めるとき、「転職先さえ決まれば大丈夫」と考えがちです。しかし実際には、勤務先が変わることで、収入の得方だけでなく、社会保険・税金・外勤先の確保なども自分で管理する対象に変わります。
エムステージエージェントが退局経験者205名に行った調査では、87.8%の医師が「医局を辞めて良かった」と回答しています[1]。ただし、辞めた後に「困ったことがある」という声も一定数あり、その多くは外勤先を自分で探さなければならなくなることに関するものでした[1]。では、医局を辞める際、実際に何を誰に相談すればいいのでしょうか。

目次

医局を辞める際、まず誰に相談すればいい?

悩みの種類によって、適した相談先は異なります。

悩み主な相談先
次の勤務先を探したい医師転職エージェント
非常勤・スポットを探したい医師求人サイト・エージェント
退局の切り出し方医局の先輩・OB、転職エージェント
退局を巡るトラブル弁護士、労働基準監督署
健康保険協会けんぽ・健康保険組合、自治体(国保)
年金年金事務所、自治体
税金・確定申告税理士、税務署
資産形成ファイナンシャルプランナー、金融機関等
税務・節税税理士、税務署

このように、「医局を辞める」ことに関わる相談先は一つではありません。中でも一番使われているのが転職エージェントですが、これだけで十分というわけではない点を、以下で整理します。

転職エージェントだけでは十分とはいえない理由

転職エージェントは、次の勤務先を探す・非公開求人にアクセスする・条件交渉を代行してもらう、という「仕事探し」の専門家です。
複数のエージェントに登録し、リスクを分散させることが推奨されています(この点については、こちらの記事「医師転職エージェント比較」で詳しく扱っています)。

ただし、転職エージェントは「辞めた後、お金や制度の面で何が変わるか」までは踏み込んで教えてくれないことが一般的です。転職エージェントは仕事探しの専門家であって、退局後の生活全体について教えてくれるわけではありません。ここが見落とされがちなポイントです。

医局を辞めた後の働き方にはどんな選択肢がある?

「医局を辞める=転職」とは限りません。退局をきっかけに、働き方そのものを設計し直す医師も少なくありません。

  • 市中病院・クリニックへの常勤転職:医局を離れ、別の医療機関で常勤として働く、最も一般的な選択肢です。
  • 非常勤の掛け持ち:複数の医療機関で非常勤として働く働き方です。こちらの記事(医師の手取りシミュレーション)で扱った通り、社会保険の扱いが勤務医時代と変わります。
  • スポット勤務の組み合わせ:単発の外来応援・当直などを組み合わせる働き方です。
  • 産業医・健診・自由診療への転向:臨床の第一線から離れ、異なる形で医師としての専門性を活かす選択肢もあります。
  • 開業:将来的な独立を選択肢に入れる場合は、勤務医とは異なる資金調達・税務・社会保険などの知識が必要になります。

退局するとお金・制度はどう変わる?

勤務医として病院などに雇用されている間は、社会保険の加入手続きや給与に関する税務処理の多くを勤務先が担っています。しかし、退局を機に勤務先や働き方が変わると、自分で確認・手続きしなければならない事項が増えます。

健康保険:退職後すぐに別の勤務先で社会保険に加入する場合を除き、健康保険には「任意継続」「国民健康保険(医師国保を含む場合があります)」「家族の健康保険の被扶養者」といった選択肢があります[2]。任意継続を利用する場合、資格喪失日の前日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること、資格喪失日から20日以内に申請することが条件になります[2]
非常勤を複数掛け持ちする場合は、勤務先ごとに健康保険・厚生年金の加入要件を確認する必要があります。いずれの勤務先でも社会保険の加入対象とならない場合には、国民健康保険や医師国保などを検討することになります。なお、複数の勤務先で社会保険の加入要件を満たす場合には、複数事業所勤務に関する別の手続きが必要になることがあります。

年金:厚生年金の加入対象から外れ、次の勤務先でも厚生年金に加入しない場合は、国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要になります[3]

住民税:前年の所得を基準に課税されるため、医局時代よりも所得が下がることが予想される場合は注意が必要です。

確定申告:複数の勤務先から給与を受け取る医師は、確定申告が必要になるケースが多くなります。ただし「複数の給与=必ず確定申告が必要」というわけではなく、年末調整の対象となる勤務先の有無や、各勤務先の源泉徴収票の内容によって申告の要否が判断されます[4]

医局を辞めた後に困りやすいこと

前述の調査でも挙げられていた通り、非常勤先・外勤先を自分で探す必要が出てくることが、退局後に困りやすい点の代表例です[1]。医局に所属している間は、医局を通じて外勤先が決まっている医師もいますが、退局後は自分で非常勤先を探し、応募・面談を経て決めていく必要が生じる場合があります。
そのほか、専門医取得への影響(所属している専門研修プログラムや退局時期によって異なるため、施設・専門医制度の公式情報を個別に確認する必要があります)や、収入の変動、社会保険・税金の自己管理なども、退局後に直面しやすい変化です。

退局を伝えるタイミングはいつ?

退局準備の情報収集自体は、早い段階から始めておくのが望ましいです。
実際に退局の意思を「申し出る」タイミングについては、一般的には「半年〜1年前」とされることが多く、次年度の医局人事が固まる前(秋頃)までに伝えることが望ましいとされています。
ただし、医局ごとの慣習や契約内容によって適切なタイミングは異なるため、一律に「○か月前」と決めつけず、所属する医局の慣例や規則を確認しておくことをおすすめします。

医局を辞める前に確認しておきたいこと

ここまでの内容を踏まえ、退局前に確認しておきたい項目をまとめます。

  • 退局後の勤務先・収入の見込み
  • 非常勤先の確保の見通し
  • 専門医取得・専門研修への影響
  • 健康保険(任意継続・国保・被扶養者のいずれにするか)
  • 年金(国民年金への切り替えの要否)
  • 住民税・所得税(確定申告の要否を含む)
  • 医師賠償責任保険など、勤務形態に応じた保険の要否

よくある質問

医局を辞めて後悔する人はどれくらいいますか?

エムステージエージェントの調査では、退局経験者205名のうち87.8%が「医局を辞めて良かった」と回答しています。ただし、外勤先を自分で探す必要が出てくるなど、困りごとを感じる声も一定数あります。

退局を伝えるタイミングはいつが良いですか?

一般的には、次年度の医局人事が固まる前(秋頃)までに、半年〜1年前を目安に伝えることが望ましいとされています。ただし医局ごとの慣習や契約内容によって適切なタイミングは異なるため、所属する医局の慣例を確認することをおすすめします。

退局後、健康保険はどうすればいいですか?

退職後すぐに別の勤務先で社会保険に加入する場合を除くと、「任意継続」「国民健康保険(医師国保を含む場合があります)」「家族の被扶養者になる」という主に3つの選択肢があります。任意継続を利用する場合は、資格喪失日から20日以内に申請する必要があります。

まとめ

  • 退局経験者の87.8%が「辞めて良かった」と回答していますが、外勤先を自分で探す手間を困りごととして挙げる声もあります
  • 相談先は転職エージェントだけでなく、税理士・年金事務所・健康保険組合など、悩みの種類によって使い分ける必要があります
  • 「医局を辞める=転職」とは限らず、非常勤の掛け持ちや産業医への転向など、働き方そのものを設計し直す選択肢もあります
  • 退局を申し出るタイミングは「半年〜1年前」が一般的な目安とされていますが、医局ごとの慣習によって異なるため個別の確認が必要です
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【出典】
[1] エムステージエージェント「医局を『辞めた』医師・205名に聞く!退局の最適なタイミングや後悔しないための対策」 https://mstage-agent.jp/guide/20230718/13834/
[2] 協会けんぽ「任意継続の加入条件について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/002/index.html
[3] 日本年金機構「会社を退職したときの手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/todokesyo/20150422.html
[4] 国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

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この記事を書いた人

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