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医師の子供の教育費はいくら必要か|年収別に考えるシミュレーション

本記事は、公開されている統計データをもとにした一般的な情報提供です。実際の教育費は進路選択・地域・学校によって大きく異なります。教育資金の準備方法について個別の相談をご希望の場合は、ファイナンシャルプランナー等の専門家にご確認ください。

目次

はじめに

医師の場合、高所得であっても、教育費の負担感がなくなるわけではないですよね。
むしろ「子供が医学部を目指さす」「私立の一貫校に通う」といった選択肢が現実的になる分、進路によって必要となる教育費の総額が数千万円単位で変わるのが、高所得世帯の教育費の特徴です。
この記事では、公開されている統計データをもとに、進路別の教育費の目安をお伝えしていきます。

幼稚園から高校までの教育費

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月訂正版)によると、学校教育費・学校給食費・学校外活動費を合わせた学習費の総額は、以下のようになります[1]

区分公立(年間)私立(年間)公私比率
幼稚園約18.5万円約34.7万円約1.9倍
小学校約36.7万円約174.2万円約4.8倍
中学校約54.2万円約156.0万円約2.9倍
高校(全日制)約59.7万円約117.9万円約2.0倍

私立小学校の学費は公立の約4.8倍と、他の学校段階よりも公私の差が大きく、6年間の総額では私立小学校だけで約1,045万円になります[1]

【高等学校等就学支援金について】
高等学校等就学支援金は、2026年4月(令和8年度)から所得制限が撤廃され、世帯の所得にかかわらず、高等学校等就学支援金による授業料の支援を受けられるようになりました(私立高校は年額最大45万7,200円)[2]。ただし、支援の対象はあくまで授業料であり、教材費・制服代・学校外活動費(塾など)は引き続き自己負担です。

幼稚園から大学までの総額

文部科学省の調査によると、幼稚園3歳から高校卒業までの15年間の学習費総額は、すべて公立に通った場合で約614万円、すべて私立に通った場合で約1,969万円とされています[1]

そして、日本政策金融公庫の調査によると、大学4年間にかかる教育費(生活費を除く)は、国公立大学で約481万円、私立大学文系で約690万円、私立大学理系で約821万円とされています[3]。自宅を離れて一人暮らしをする場合は、これとは別に生活費(仕送り)が必要になります。

これらを単純に合計すると、幼稚園から大学まで、すべて国公立(大学は自宅通学の国公立)に進んだ場合で約1,100万円、すべて私立(大学は私立文系)に進んだ場合で約2,660万円となり、差額は約1,560万円になります(私立理系や医学部を選んだ場合はさらに変わります)。

医学部を目指す場合の学費

医師の読者にとって特に気になるのが、「自分の子供が医学部を目指す場合の学費」だと思います。医学部の学費(学納金)は、2026年度のデータですと、以下のようになっています。

区分6年間の学費総額
国公立大学医学部約350万円(入学金28.2万円+年間授業料53.58万円×6年)
私立医学部(最安)約1,850万円(国際医療福祉大学)
私立医学部(最高)約4,550万円(川崎医科大学)

国公立医学部と比較すると、私立医学部では6年間の学費に約1,500万円から約4,200万円の差があります[4][5]。私立医学部は大学によって学費の差が大きく、奨学金・特待生制度によって実質的な負担が下がるケースもあるため、志望校を検討する段階で個別に確認することが重要です。

年収別シミュレーション:教育費は手取りの何%か

ここまでの学費の総額を踏まえて、実際に毎月どれくらいの教育費を積み立てる必要があるのか、世帯年収別に試算してみます。
教育費は世帯全体の家計から準備するものであるため、こちらの記事(医師の手取りシミュレーション)の給与所得者モデルを応用し、世帯年収1,200万円・1,800万円・2,500万円の3段階で、子供が生まれてから大学を卒業するまでの期間を通じて、教育資金総額を均等に積み立てた場合の月額を計算しました(運用益は考慮せず、単純に総額を期間で割った目安です)。

世帯年収手取り(月額)全公立コース全私立コース中高私立+国公立医学部中高私立+私立医学部(最高額)
1,200万円約71.2万円約4.2万円(5.8%)約10.1万円(14.2%)約5.0万円(7.1%)約19.6万円(27.5%)
1,800万円約98.9万円約4.2万円(4.2%)約10.1万円(10.2%)約5.0万円(5.1%)約19.6万円(19.8%)
2,500万円約130.0万円約4.2万円(3.2%)約10.1万円(7.8%)約5.0万円(3.9%)約19.6万円(15.1%)

※手取り額は、世帯年収と同額を1名の給与所得者が得るモデルで試算しています。配偶者の収入、配偶者控除等の個別事情は考慮していません。共働き世帯では実際の手取り額が異なる場合があります。全公立・全私立コースは、幼稚園入園から大学卒業までの22年間(0歳〜22歳)で総額を均等に積み立てた場合の月額です。医学部を含むコースは、幼稚園入園から医学部卒業までの24年間(0歳〜24歳)で総額を均等に積み立てた場合の月額です。医学部を含む2コースは、幼稚園・小学校は公立、中学校・高校は私立という前提です。実際には教育費の支出は進学のタイミングに合わせて偏るため、あくまで平均的な負担感の目安としてご覧ください。なお、実際の資金準備では、子供が生まれた時点から積み立てを始めることで、教育費の支出が本格化する前から資金を蓄えることができます。

この表から見えるのは、同じ「子供が医学部に進学する」という選択でも、世帯年収によって手取りに占める負担割合が大きく異なるということです。
世帯年収1,200万円で中高私立から私立医学部(最高額)まで進ませる場合、教育費だけで手取りの27.5%程度に相当する計算になります。
一方、世帯年収2,500万円であれば同じコースでも15.1%程度に収まり、負担感は大きく異なります。

一方、教育資金の準備期間が長い場合には、リスク許容度を踏まえて一部を長期運用することで、必要な積立額を抑えられる可能性もあります。
ただし運用には元本割れのリスクがあるため、進学時期が近づいた資金については値動きの小さい資産に移すなど、使う時期を意識した資金管理が重要です。

教育資金をいつ、どれだけ準備するべきなのか

教育資金を準備する上で、総額と同じくらい重要なのが、「いつ、まとまった支出が発生するか」というタイミングです。

子供の年齢イベント支出の目安
0歳出生、積立開始の起点
3歳幼稚園入園年間18.5万円〜34.7万円
6歳小学校入学私立を選ぶ場合、年間174.2万円規模に急増(公立の場合は36.7万円)
12歳中学校入学私立の場合、年間156.0万円規模
15歳高校入学2026年4月以降、授業料は所得制限なく支援対象
18歳大学・医学部入学入学金等のまとまった一時金+以降4〜6年間の学費が継続

このように時系列で見てみると、私立小学校に進ませる場合は、子供が生まれてから6歳ごろまでの比較的短い期間で、まとまった教育資金を準備する必要があることが分かります
一方、大学や医学部入学時の資金は、子供が生まれてから18年という長い準備期間があるため、早期からNISA等を活用した長期運用で備える余地が大きいという違いがあります。「いつ使うお金か」によって、貯め方(預貯金か、運用に回すか)を分けて考えることが、効率的な準備につながります。

また、具体的な備え方の1つとして、児童手当を使わずに貯め続けると、18歳時点で約230万円になるという試算があります[6]。これは大学進学時の入学金や初年度納付金の一部に充てられる金額であり、児童手当の受取口座を生活費用の口座と分けておくと、着実に資金を貯めやすくなりますかもしれません。

よくある質問

幼稚園から大学まで、すべて公立・国公立に進んだ場合、教育費の総額はいくらですか?

幼稚園から高校までの15年間で約614万円、大学(国公立・自宅通学)で約481万円が学費の目安とされており、合計すると約1,100万円程度になります。幼稚園から高校まですべて私立、大学は私立文系に進んだ場合との差額は、大学卒業までの合計で約1,560万円程度になる計算です。

私立医学部と国公立大学医学部では、学費はどれくらい違いますか?

2026年度の学費のデータでは、国公立大学医学部は6年間で約350万円であるのに対し、私立医学部は最安の大学で約1,850万円、最も高い大学では約4,550万円と、大学によって6年間の学費に約1,500万円〜4,200万円もの差があります。

2026年4月以降、高校の授業料は誰でも無償化の対象になりますか?

2026年4月(令和8年度)から高等学校等就学支援金の所得制限が完全に撤廃され、世帯年収にかかわらず授業料相当分の支援を受けられるようになりました。ただし支援対象は授業料のみで、教材費・制服代・学校外活動費(塾など)は引き続き自己負担です。

世帯年収1,200万円でも、私立医学部への進学は現実的ですか?

一概に判断することはできません。今回の単純試算では、中高私立から私立医学部(最高額)まで進む場合、教育費だけで手取りの27.5%程度に相当します。一方、国公立医学部を含むコースでは7.1%程度です。住宅費や兄弟姉妹の教育費、保有資産、祖父母からの援助などによっても負担感は大きく変わるため、進路を想定した早めの資金計画が重要です。

まとめ

  • 幼稚園から高校までの教育費を考えると、私立小学校・中学校を選ぶかどうかが大きな分岐点になります。特に私立小学校は公立の約4.8倍と、他の学校段階よりも公私差が突出しています。
  • 医学部を子供の進路の選択肢に含めるかどうかで、必要な教育資金のレンジが大きく変わります。国公立か私立か、私立の中でもどの大学かによって、数千万円単位の差が生まれることを踏まえて資金計画を立てる必要があります
  • 教育費を時系列で見てみてると、高校までの教育費は毎月の家計から支出し、大学進学時に必要となるまとまった資金は別枠で計画的に準備する、というやり方には一定の合理性があります。

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興味のある方は、ぜひ講座の概要だけでも、覗いてみてください。

【出典】
[1] 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果のポイント」(令和6年12月25日公表資料訂正版、令和8年1月16日差替) https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_1.pdf
[2] 文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通知)」(令和8年3月31日) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/1408866_00004.htm
[3] 日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf
[4] 国際医療福祉大学「学費|受験生応援Navi」(医学部6年間の学生納付金1,850万円) https://admissions.iuhw.ac.jp/expenses/
[5] イエナアカデミー「【2026年最新】川崎医科大学の入試情報」(6年間の学費約4,550万円、寮費等を除く) https://jena-academy.com/med-kawasaki/
[6] 日本FP協会「ストレスフリーな教育資金準備」(児童手当を貯めた場合の試算) https://www.jafp.or.jp/know/info/column/20240809.shtml

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この記事を書いた人

高所得層のための「キャピタル研究室」を運営しています。
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